結婚式当日、新郎新婦から「スピーチをお願いしたい」と頼まれた上司の方は、何をどう話せばいいのか悩むことが多いのではないでしょうか。
「お祝いの言葉は伝えたいけれど、場の空気を壊したくない」「どのくらい話せばいいのか分からない」という不安は、スピーチ経験の豊富な方でも感じるものです。
私自身、結婚式の準備をしていたとき、上司にスピーチを依頼する側として「どんなスピーチをお願いすればいいのか」「失礼にならない依頼の仕方は?」と調べ回った経験があります。そのときに感じたのは、スピーチを依頼する側もされる側も、「何が正解か分からない」という共通の悩みがあるということでした。
この記事では、結婚式における上司スピーチ(主賓祝辞)の基本知識から、そのまま使える例文、立場別のポイント、当日のマナーまでをまとめてご紹介します。
スピーチを頼まれた上司の方はもちろん、上司にスピーチを依頼する新郎新婦の方にも参考になる内容となっています。準備を進めながらぜひ活用してみてください。
結論:結婚式で上司のスピーチを成功させる5つのポイント
まず結論からお伝えします。上司として結婚式のスピーチを成功させるためには、次の5つのポイントを意識することが大切です。
- 自己紹介と新郎新婦との関係を明確にする
- 具体的なエピソードを1〜2個に絞って話す
- 忌み言葉・重ね言葉を避ける
- スピーチ時間を3〜5分以内に収める
- 事前に新郎新婦から情報収集しておく
この5点を押さえるだけで、スピーチのクオリティは格段に上がります。以降の章では、それぞれについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
結婚式における上司スピーチの基本知識
上司スピーチ(主賓祝辞)とはどんな役割?
結婚式での上司スピーチは、正式には「主賓祝辞(しゅひんしゅくじ)」と呼ばれます。主賓とは、列席者の中でもっとも格上の招待客のことで、一般的には新郎新婦の職場の上司や恩師がその役を担います。
主賓祝辞は披露宴の冒頭に行われることが多く、式全体の格調や雰囲気を左右する重要なスピーチです。新郎新婦の人柄やこれまでの歩みを紹介しながら、列席者全員に向けてお祝いの気持ちを伝える役割があります。
友人のスピーチや余興とは異なり、主賓祝辞はフォーマルな位置づけです。笑いを取ることよりも、新郎新婦への敬意と祝福を丁寧に伝えることが求められます。上司スピーチは「会社の代表として新郎新婦を送り出す」という意味合いを持つ、格式ある挨拶です。
スピーチを依頼される上司の立場とは
スピーチを依頼される上司は、新郎または新婦の直属の上司であることが一般的です。ただし、会社の規模や部署の状況によっては、部長・課長・チームリーダーなど役職は様々です。
依頼された側としては、「自分が頼まれた理由」を理解しておくことが大切です。新郎新婦は「この人に話してほしい」という信頼を込めて依頼しています。スピーチの依頼は、新郎新婦からの大きな信頼の証です。その気持ちに応えるためにも、準備をしっかり行いましょう。
また、上司の立場では、仕事面での新郎新婦の姿を知っているという強みがあります。職場でのエピソードは、他のゲストが知らないリアルなエピソードになりやすく、スピーチに深みを与えてくれます。
スピーチの適切な時間・長さの目安(3〜5分)
上司スピーチの適切な時間は、3〜5分が基本的な目安です。文字数に換算すると、約900〜1,500字程度が目安になります。
| スピーチ時間 | 文字数の目安 | 印象 |
|---|---|---|
| 1〜2分以内 | 300〜600字程度 | 短すぎて物足りない印象になりやすい |
| 3〜5分 | 900〜1,500字程度 | ちょうどよいバランス(推奨) |
| 6〜8分 | 1,800〜2,400字程度 | やや長い。列席者が飽き始めるリスクあり |
| 10分以上 | 3,000字以上 | 長すぎて料理が冷める・場が間延びする原因に |
表のとおり、短すぎても長すぎても問題があります。1〜2分では「あっさりしすぎている」と感じられることがある一方、10分以上になると料理が冷めてしまい、列席者の集中力も途切れがちです。
スピーチは3〜5分を守ることが、列席者全員への思いやりにもなります。実際に原稿を作成したら、必ず声に出して時間を計る習慣をつけましょう。
読む速さには個人差がありますが、一般的なスピーチのペース(1分間に300字前後)を基準にするとよいでしょう。緊張すると早口になりがちなので、練習時よりも少し余裕を持った長さに調整しておくことをおすすめします。
上司スピーチの基本構成【5ステップ】
①自己紹介と新郎新婦との関係説明
スピーチの冒頭では、まず自分が何者かを明確に伝えます。列席者の中には会社のことを知らない親族も多いため、「〇〇株式会社で新郎の上司を務めております△△と申します」のように、会社名と役職・名前をセットで紹介するのが基本です。
冒頭の自己紹介は20〜30秒程度に収めるのが理想です。長々と自分のキャリアを話す必要はなく、シンプルに「誰であるか」「どんな関係か」だけ伝えれば十分です。
自己紹介の後は、新郎新婦との関係性を少し補足するとスムーズです。「入社以来5年間、同じ部署で一緒に働いてきました」といった一言を加えることで、スピーチ全体への信頼感が高まります。
②列席者・新郎新婦への祝辞(お祝いの言葉)
自己紹介の次は、お祝いの言葉です。新郎新婦への祝辞はもちろん、ご両親や列席者全員への感謝と祝福の言葉も添えると丁寧な印象になります。
「本日はご結婚、誠におめでとうございます」という定番の一言は必ず入れましょう。そのうえで、「〇〇さん(新郎)と△△さん(新婦)の門出を心よりお祝い申し上げます」と続けると、二人への温かみが伝わります。
「ご両家のご親族の皆様にも、心よりお慶び申し上げます」という一言を忘れずに添えることで、スピーチ全体の格式が上がります。ご両親や親族への言及は、特に年配の方から好印象を持たれやすいポイントです。
③新郎新婦の人柄が伝わるエピソード紹介
スピーチの中核となるのが、エピソードの部分です。具体的なエピソードを盛り込むことで、「この上司は本当によく見ていてくださったんだな」という温かみが生まれます。
エピソードは1〜2個に絞ることがポイントです。あれもこれもと詰め込みすぎると、話が散漫になりスピーチが長くなってしまいます。「一つのエピソードを丁寧に語る」ほうが、聞き手の心に届くスピーチになります。
職場でのエピソードとして使いやすいのは、「困難なプロジェクトを乗り越えた話」「誠実な仕事ぶりが伝わるエピソード」「周囲への気遣いが見えた場面」などです。新郎新婦のプラスの面が伝わるエピソードを選びましょう。
④はなむけの言葉(激励・アドバイス)
エピソードの後は、はなむけの言葉として新郎新婦へのアドバイスや激励を伝えます。上司という立場だからこそ言える言葉を選ぶと、スピーチに重みが出ます。
「仕事でも家庭でも、お互いを尊重し支え合ってください」「困難なときこそ二人で話し合う関係を大切にしてほしい」など、具体的で温かい言葉が喜ばれます。アドバイスは一言〜二言に留め、説教調にならないよう注意が必要です。
長々とアドバイスを並べると、せっかくのお祝いの場が締まりすぎた雰囲気になることがあります。あくまでも「背中を押す言葉」として短くまとめるのが上手なはなむけの言葉です。
⑤結びの挨拶(着席の促しを忘れずに)
スピーチの締めくくりには、結びの挨拶を入れます。「〇〇さんと△△さんのご多幸とご両家の益々のご繁栄をお祈り申し上げます」といった定番の締め言葉が使いやすいです。
主賓祝辞では最後に「以上をもちまして、私のお祝いの言葉とさせていただきます」と述べるのが一般的なマナーです。そして、スタッフから促された場合や会場の流れによっては「どうぞお座りください」と着席を促すことも忘れずに。
着席の促しは、自分が座るだけでなく列席者全員への配慮として行うものです。主賓として立っている間は会場全体が起立していることも多いため、スムーズな着席の流れを作ることもスピーチの一部と心得ておきましょう。
上司スピーチの例文集【そのまま使える】
新郎の上司として贈るスピーチ例文
以下は、新郎の職場の上司として行うスピーチの例文です。参考にしながら、実際のエピソードに合わせてアレンジしてください。
「〇〇株式会社、営業部長の△△と申します。本日は〇〇君の結婚披露宴にお招きいただき、誠にありがとうございます。〇〇君、△△さん、ご結婚おめでとうございます。またご両家の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。
〇〇君とは、彼が入社した5年前からご縁をいただいております。最初はとにかく真面目で、少し不器用なところもありましたが、どんな仕事にも手を抜かず取り組む姿勢が印象的でした。あるプロジェクトで難しいクライアントを担当することになったとき、彼は誰よりも早く出社し、資料を作り直し続けました。最終的にはそのクライアントから「〇〇さんに担当してもらって良かった」というお言葉をいただきました。その誠実さは、これからの家庭においても必ずや活きると信じております。
どうか二人で支え合い、温かい家庭を築いていただければ幸いです。〇〇君と△△さんのご多幸を心よりお祈り申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。ありがとうございました。」
新婦の上司として贈るスピーチ例文
「〇〇株式会社、△△部の□□と申します。本日は新婦〇〇さんの結婚披露宴にお招きいただき、大変光栄に存じます。〇〇さん、△□さん、ご結婚おめでとうございます。
〇〇さんとは、彼女が入社して以来、3年間同じチームで仕事をしてまいりました。一言で表すならば「気配りの人」です。仕事が忙しい時期でも、チームメンバーへの声がけを欠かさず、お客様への対応は常に丁寧で、気がつくとチーム全体の雰囲気がよくなっていました。
結婚後もその明るさと温かさで、素敵な家庭を作ってくれると確信しております。〇〇さんと△□さんの末永いお幸せと、ご両家のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございました。」
新郎・新婦両方が部下の場合のスピーチ例文
同じ職場で出会ったカップルの場合、両方の上司として話すケースもあります。この場合は、双方への言葉をバランスよく盛り込むことが大切です。
「〇〇株式会社、□□部長の△△と申します。〇〇君、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。二人は私の部署で出会い、今日こうして晴れの日を迎えてくれたことを、上司として心から嬉しく思っております。
二人が一緒に働いていたとき、お互いが相手の仕事を自然にフォローし合っている場面を何度も見てきました。「この二人なら支え合える」と確信したのは、そういった日常の積み重ねがあったからです。これからも仕事で培ったチームワークを、家庭でも大切にしていただければと思います。お二人の末永い幸せを願っております。ありがとうございました。」
面白い・笑いを取り入れたスピーチ例文(上司編)
少し笑いを取り入れたい場合でも、品位を保つことが重要です。くだけすぎず、会場全体が温かく笑えるエピソードを選びましょう。
「〇〇さんが今日こうして結婚の日を迎えたことは、私にとっても感慨深いことです。というのも、入社当初の〇〇さんは、毎朝コーヒーを3杯飲まないと仕事が始まらない、という噂がありまして(笑)。ところが結婚が決まってからは、コーヒーを1杯で仕事を始めるようになりました。△△さんの存在が、〇〇さんをそれだけ変えてくれたということでしょう。私も上司として、△△さんに感謝したいと思います(笑)。」
このように、当人の「笑える習慣」や「変化」をやさしくからかう程度であれば、温かい笑いを生み出せます。笑いは「クスッと笑える程度」が上司スピーチには最適です。大きな笑いを狙うほど失敗リスクが高まります。
感動的・シーンとさせるスピーチ例文(上司編)
感動を呼ぶスピーチのポイントは、具体的なエピソードをゆっくりと丁寧に語ることです。涙を誘おうと演出しすぎるより、事実をありのまま伝えることで自然な感動が生まれます。
「〇〇さんが入社して間もない頃、仕事でとても悔しい思いをした時期がありました。そのとき私に言った言葉を今でも覚えています。「次は絶対に結果を出します」と。その目に迷いはありませんでした。そしてその翌月、彼女は見事に結果を出しました。あの目の強さが、今日、この場にいる△△さんにも伝わったのだと私は思っています。〇〇さんと△△さん、どうかその強さで、二人の未来を切り開いていってください。」
立場・年代別スピーチのポイントとネタ
20〜30代の上司として頼まれた場合のポイント
20〜30代の若い上司がスピーチを依頼されるケースも増えています。年齢が近いからこそ気を付けたいのは、「フランクになりすぎない」という点です。
若い上司の場合、友人スピーチとの違いを意識することが重要です。あくまで上司として、職場での関係性を前提にした言葉を選びましょう。親しみやすさを出しながらも、格式を保つバランスが大切です。
エピソードは「仕事上の成長」「責任ある判断をした場面」など、プロとしての姿を切り取るとよいでしょう。年代が近い場合でも、スピーチはあくまで「主賓祝辞」の位置づけです。友人スピーチと混同しないよう注意が必要です。
40代の上司として頼まれた場合のポイント
40代の上司は、スピーチを依頼される頻度が最も高い年代といえます。部下との年齢差がちょうどよく、人生経験に基づいたアドバイスも自然に語れる立場です。
この年代のスピーチでは、「仕事での成長を見てきた」という実感と、「社会人・人間としての成熟」を組み合わせた言葉が響きやすいです。40代の上司スピーチは「仕事での姿」と「人柄」を結びつけることで、説得力のある祝辞になります。
はなむけの言葉では、人生経験から生まれた自分自身の言葉を選ぶと個性が出ます。ことわざや有名人の名言に頼りすぎず、「自分が大切にしてきた考え方」をシンプルに伝えることが感動につながります。
50代以上の上司として頼まれた場合のポイント
50代以上の上司は、社会的な重みがあり、主賓としての格式がより高い立場です。その分、フォーマルな言葉遣いと丁寧な態度が求められます。
長年の経験から語れるエピソードは豊富にあるかと思いますが、スピーチ時間は5分以内を厳守することを特に意識してください。年配の方ほど話が長くなりやすい傾向があり、列席者への配慮として時間管理が重要です。
語りかける対象は新郎新婦だけでなく、ご両親やご親族にも意識を向けた言葉があると格調が増します。「ご両親のもとで育ち、社会人として立派に成長した〇〇さん」という視点を取り入れると、親御さんへの敬意も伝わります。
恩師・親の知人として頼まれた場合のポイント
恩師や親の知人として依頼された場合は、新郎新婦と過ごした時間の中から「この人らしいな」と感じたエピソードを選ぶことがポイントです。
学生時代の恩師であれば、当時の様子や成長の過程を語ることができます。「あの頃からこういう人でした」という言葉は、ご両親や古くからの知人に特に響きます。「あの頃の姿が今日の姿につながっている」という流れを意識すると、感動的なスピーチになります。
親の知人の場合は、新郎新婦本人とのエピソードが少ないこともあります。その場合は「ご両親から聞いたエピソード」や「今日初めてお会いして感じた印象」を語る方法も有効です。
新郎新婦と接点が少ない場合の対処法
「直属の上司ではないが頼まれた」「接点が薄い部署の先輩として依頼された」というケースもあります。エピソードが少ないと感じる場合でも、焦る必要はありません。
まずは、共通の知人や同僚から新郎新婦のエピソードをヒアリングする方法があります。「同僚から聞いた話によると〜」という形で紹介することも、スピーチとして成立します。接点が少ない場合は、新郎新婦への事前インタビューが最も効果的な対処法です。
直接「スピーチのためにいくつか教えてもらえますか?」と聞くと、二人も喜んで話してくれることが多いです。どんな出会いだったか、仕事でこだわっていること、相手の好きなところなど、いくつか教えてもらうだけでスピーチの素材が揃います。
上司スピーチを成功させるためのマナーと注意点
必ず避けるべき忌み言葉・重ね言葉一覧
結婚式スピーチで特に注意が必要なのが、忌み言葉と重ね言葉です。
| 種類 | 使ってはいけない言葉・表現 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 忌み言葉(別れ・終わりを連想) | 切る、終わる、別れる、離れる、消える、冷める | 結ぶ・始まる・旅立つ・距離を置く |
| 忌み言葉(不幸・死を連想) | 死ぬ、苦しむ、破れる、失う、倒れる | 大変な思いをする・乗り越える |
| 重ね言葉(繰り返しを連想) | 重ね重ね、くれぐれも、たびたび、ますます、またまた | 心から・十分に・何度も・さらに・再び |
| その他注意が必要な表現 | 再び、繰り返し、戻る(再婚を連想させる場合) | これからの二人・未来へ向けて |
忌み言葉は「縁起が悪い」とされるため、結婚式スピーチでは避けるのがマナーです。特に「切る」「別れる」「終わる」は日常的によく使う言葉なので、スピーチ原稿を作成したら一度声に出して読み直し、該当する言葉が含まれていないか確認しましょう。
重ね言葉は「繰り返し」を連想させることから、「離婚の繰り返し」につながると考えられてきた言葉です。「ますます」「重ね重ね」は祝福の文脈でも使いやすい言葉ですが、結婚式スピーチでは「心より」「さらに」などに言い換えることをおすすめします。
これらの言葉遣いは年配のゲストほど気にされる傾向があります。気にしない方が増えているのも事実ですが、誰一人不快に思わせないためにも、スピーチでは意識して使わない習慣を持つことが大切です。
NGな話題・禁句(ネガティブ内容・内輪ネタ・下ネタ・暴露話)
忌み言葉以外にも、スピーチで避けるべきNGな話題があります。
- 過去の恋愛・元交際相手に関する話
- 失敗談・ミスの暴露(笑いを取るつもりでも傷つける可能性がある)
- 下ネタ・お酒にまつわる武勇伝
- 特定の人だけが分かる内輪ネタ
- 会社の内部事情・愚痴・ネガティブな評価
これらは「笑えるエピソード」として用意したつもりでも、新郎新婦や列席者を傷つける可能性があります。特に恋愛の暴露話は、ご両親に聞かせたくない内容を含むことが多く、披露宴の場では厳禁です。
内輪ネタは会社の同僚には伝わっても、新郎新婦のご両親や学生時代の友人には意味が通じません。スピーチは会場全員が楽しめる内容であることが大前提です。「その場の半分以上に通じない話」はスピーチには向きません。
原稿・カンペを見ながら話してもよいのか
スピーチ中に原稿を見てもよいのか、気になる方も多いと思います。結論からいうと、上司スピーチで原稿を見ながら話すことは、マナー上問題ありません。
むしろ、準備不足のまま話してしどろもどろになるよりも、きちんと原稿を用意して読む方が誠実な印象を与えることもあります。ただし、原稿を「棒読み」することは避けましょう。事前によく練習し、視線を上げながら話す場面を意識することが大切です。
原稿は白い紙に大きめの文字で印刷し、折りたたまずにそのまま持参するのがベストです。スマートフォンで読み上げることは、見た目の印象として避けた方が無難です。
スピーチ当日の話し方・姿勢・アイコンタクトのコツ
当日のスピーチで意識したい話し方のポイントをまとめます。
まずは姿勢です。背筋を伸ばし、マイクに向かって真っ直ぐ立つことが基本です。下を向いたまま原稿を読み続けると、声がこもって聞き取りにくくなります。
アイコンタクトは、話しながら新郎新婦・ご両親・列席者全体に視線を向けるように意識しましょう。ずっと一点を見続けるのではなく、会場全体をゆっくり見渡すイメージです。特に「新郎新婦に向けた言葉」は、実際に二人の方を向いて話すと感情が伝わります。
話す速さは、普段の会話よりも少しゆっくりめが理想です。緊張すると無意識に早口になるため、「少し遅すぎるかな?」と感じるくらいのペースが、聞き手にはちょうどよく聞こえることが多いです。
面白いスピーチで失敗しがちなパターンと回避法
笑いを取り入れたスピーチで失敗するパターンとその対策を整理します。
| 失敗パターン | 原因 | 回避策 |
|---|---|---|
| 笑いが取れず場が凍る | 笑いの前提が伝わっていない・内輪ネタ | 笑いの文脈を全員が理解できるエピソードに変更する |
| 新郎新婦が傷つく | 暴露話・失敗談を笑いに使った | 本人に事前に確認を取る |
| スピーチが長くなりすぎる | 笑いのつなぎを増やしすぎた | 笑いは1〜2か所に絞る |
| 下品な印象を与える | 下ネタ・お酒ネタを入れた | 笑いは「温かいクスッ」にとどめる |
笑いを取り入れたスピーチは魅力的ですが、リスクも伴います。笑いのエピソードを使いたい場合は、必ず事前に新郎新婦本人に内容を確認してもらうことが大切です。
「本人に話してOKをもらったエピソード」であれば、当日会場に温かい笑いが生まれやすくなります。新郎新婦が笑っている様子を見て、周囲のゲストも安心して笑えるからです。独断で決めず、コミュニケーションを取ることが笑いの失敗を防ぐ一番の方法といえます。
スピーチ前に確認しておきたいこと
新郎新婦の基本情報・名前の読み方の確認
スピーチで最も恥ずかしいミスの一つが、名前の読み間違いです。「〇〇さん」と呼ぶ名前が、普段とは異なる読み方をする場合があります。戸籍上の正式な名前を事前に確認しておきましょう。
スピーチ前に必ず新郎新婦の正式な氏名の読み方を書面で確認することが大切です。口頭だけでなく、メモや書面で確認することで、当日のミスを防げます。
所属会社の正式名称、部署名、役職名なども改めて確認しておくと安心です。特に自己紹介の部分で「〇〇株式会社」と述べる際、略称と正式名称を混同しないよう気をつけましょう。
話してほしくないことや触れてはいけない話題の確認
スピーチ前に「触れてほしくないこと」を新郎新婦に確認することは、とても重要なプロセスです。「以前の失恋の話はNG」「親の仕事については触れないでほしい」「体型や健康に関する話は避けてほしい」など、個人ごとに事情があります。
「どんな話をしてほしいか」だけでなく「してほしくないことはありますか?」と必ず聞いておきましょう。この一言があるだけで、スピーチ中の地雷を避けられます。
また、列席者の中に特別な事情がある方(ご離婚された方、お子様を亡くされた方など)がいる場合も考慮が必要です。新郎新婦側からそういった情報を共有してもらえるよう、事前に話しやすい雰囲気で確認することが大切です。
会場の規模・列席者数・タイムテーブルの確認
スピーチの長さや話し方は、会場の規模や列席者数によって調整が必要です。50名以下の小規模な披露宴と、200名規模の大きな披露宴では、マイクの使い方や視線の向け方も変わってきます。
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 列席者の人数・構成 | 内輪ネタの使いやすさや敬語レベルの調整のため |
| スピーチの順番・タイムテーブル | 前後のスピーチとの長さのバランスを取るため |
| マイクの有無・位置 | 声量の調整やスタンドマイクか持ちマイクかの把握 |
| 会場のレイアウト(高砂の位置) | 新郎新婦への視線の向け方を確認するため |
タイムテーブルの確認は特に重要です。自分のスピーチが何番目に行われるか、前後に何があるかを把握しておくと、当日焦らずに準備できます。当日は式場スタッフからの誘導に従い、スムーズに立てるよう着席位置も確認しておきましょう。
会場の雰囲気が事前にイメージできると、スピーチの話し方や抑揚の調整もしやすくなります。可能であれば、事前に会場の写真を見せてもらうか、ブライダルフェアで会場を下見している場合は、その雰囲気を参考にするとよいでしょう。
スピーチ原稿の作成と事前練習の方法
原稿の作成は、スピーチ本番の少なくとも2〜3週間前から始めることをおすすめします。一気に書こうとするよりも、「①自己紹介→②祝辞→③エピソード→④はなむけ→⑤結び」という5ステップに沿って、1ブロックずつ書き進める方法がスムーズです。
原稿が完成したら、必ず声に出して読む練習をしてください。黙読だけでは気づかない「言いにくい言葉」「息が続かない長い文章」が分かり、原稿の改善に役立てられます。本番前に最低3回は声に出して通し練習を行うことが、自信を持って当日を迎えるための最低ラインです。
時間を計りながら練習することも忘れずに。3〜5分以内に収まるかどうかを確認しながら、必要に応じて内容を削ったり、話すペースを調整したりしましょう。練習を積み重ねることで、当日は原稿を見ながらでも自然に話せるようになります。
まとめ:上司としての結婚式スピーチで新郎新婦の心に残る祝辞を
結婚式での上司スピーチは、新郎新婦から寄せられた信頼に応える大切な場です。準備が大変に感じるかもしれませんが、きちんと段階を踏んで準備すれば、必ず心に残るスピーチを届けることができます。
この記事でご紹介したポイントを改めて振り返ります。スピーチの基本は「自己紹介→祝辞→エピソード→はなむけ→結び」という5ステップの構成です。エピソードは1〜2個に絞り、忌み言葉や重ね言葉に気をつけながら、3〜5分以内に収めることを目標にしましょう。
事前準備として最も重要なのは、新郎新婦とのコミュニケーションです。名前の読み方・触れてほしくない話題・式の流れなど、確認できることは事前にすべて確認しておくことで、当日のミスを防ぎ、自信を持って臨むことができます。
笑いを取り入れたいときは品位を保った範囲にとどめ、感動を届けたいときは具体的なエピソードをゆっくり丁寧に語ることが大切です。どちらのスタイルであっても、「新郎新婦への心からの祝福」が伝われば、それが最高のスピーチになります。
スピーチを依頼された上司の方も、依頼する側の新郎新婦の方も、この記事が準備の一助となれば幸いです。心を込めて準備した言葉は、必ず大切な人の記憶に残ります。

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